マレーシア/クアラルンプールで発行するクレジットカードはどれがベストか?

マレーシアに長期滞在できるビザができると口座開設とクレジットカードの発行が可能になります。日本同様、クレジットカードは選択肢が非常に多いため、私の調査結果と判断基準を残しておこうと思います。

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クアラルンプールでは日本よりはクレジットカードが使えないお店が多いものの、多くのショッピングセンターやインターネットショッピングではクレジットカードが使用できます。現地版 suica ともいうべき Touch n go も特定の場所でチャージが可能です。

旅行であれば気にせずいつものカードを利用すれば問題ありませんが、現地在住や長期滞在の場合には現地のクレジットカードもつくることができるため、ついつい気になってきます。

私が調べた限りでの最適なカードを紹介したいと思います。

なぜ現地のカードを使用するのか?

最大のメリットは外貨決済の場合の事務手数料が取られないということです。ググっていただければいくらでもでてきますが、例えば私の日本でのメインカードである三井住友 VISA ANA カードの場合、1.63%の事務手数料がかかります1

他方、現地のクレジットカードの場合、マレーシアリンギットで決済し、マレーシアリンギットで引き落としされるため、日本国内で日本発行のカードを使う時と同じように、特に事務手数料がかかることはありません。そして、為替リスクもありません。この点が一番のメリットだと思います。

どのようなクレジットカードを発行するべきか?

何を求めるかによりますが、ここではマイルを得るということにフォーカスしてクレジットカードを選びたいと思います。つまり、現地の買い物・外食でマイルが貯められるカードを選ぶということです。なお、現地のカードは海外利用の場合には最大で数倍程度のマイルが貯まりますが、この場合、前述の事務手数料がかかるため、あまりおすすめできません。日本では日本発行のカードを使用するのが適切だと思っています。なお、日本でお得なクレジットカードを持っていないのであればマレーシア発行のクレジットカードを使用した方がマシです。

なぜマイル?

私の場合、少なくとも年に1回は日本に帰るからです。マイルによる特典航空券の一番のメリットは、往路と復路を 1年まで選択できるという点だと思っています。往路と復路が数ヶ月以上になると、格安航空券はめっきりと少なくなります。そのため、現地に完全に居住し、短い間だけ一時帰国するような人であれば問題ありませんが、日本に半年や1年に 1回のペースで帰る場合や日本に長期滞在する場合には検討する価値があると思います。

また、特典航空券の場合、日程を変更する必要が出てきたときも無料もしくは数千円程度と比較的安心して変更可能です。格安航空券の場合、通常変更はできないため、この点も大きなメリットと言えると思います。

どの航空会社のマイルを貯めるべきか?

マレーシアにフォーカスした場合、考えられる航空会社はマレーシア航空、シンガポール航空、エアアジア、そして日系の航空会社になるかと思います。エアアジアは成田便がないのと、お金を払わないと荷物を運べない(=日本から帰ってくるときに色々と持ってこれない)ため、除外しています。

マレーシアと日本という関係のみで考えた場合、一番マイル数が少なく往復できるのは ANA のローシーズンです。ダントツで少ないです。ANA のシーズンはANA国際線特典航空券のページで確認できます。毎年、日にちが微妙に変わるので注意が必要です。

航空会社特典航空券の種類必要マイル数(往復)備考
全日空(ANA)ローシーズン30,000(2018年)1/8~1/31、4/1~4/25、5/8~6/30、12/1~12/20
全日空(ANA)レギュラーシーズン35,000(2018年)2/1~3/31、7/1~8/2、8/21~11/30
全日空(ANA)スターアライアンス便35,000通年で同じマイル数
日本航空(JAL)35,000通年同じ。半分のマイル数で片道発券可能
日本航空(JAL)提携航空会社航空券37,000往復のみ。マレーシア航空。
全日空(ANA)ハイシーズン38,000(2018年)1/1~1/7、4/26~5/7、8/3~8/20、12/21~12/31
シンガポール航空自社またはシルクエアー50,000半分のマイル数で片道発券可能。セーバー特典(枠数が限定)の場合。
マレーシア航空自社またはJAL65,000片道だと41,000

マレーシア航空のエンリッチマイルは、マレーシア発行のクレジットカードでも貯めやすいものが多くありますが、特典航空券で比較したときのマイル価値が、最大でANAマイルの半分以下になってしまいます。また、シンガポール航空のマイルも、マレーシア航空よりはましではあるものの、ANAと比較した場合、最大で6割程度の価値になってしまうため、悩ましいところです。このようなマイル価値を前提としてクレジットカードを選ぶ必要があります。

マイルが貯まるクレジットカードを比較

現在のところ、マレーシア国内で使用するのに一番良いカードは「Maybank 2 Cards Premier AMEX」です。

マレーシア国内での消費0.95RMあたり1クリスフライヤーマイルが貯められる驚異的なカードです。海外での使用でも同じレートになります。

ただ、マレーシア国内では AMEX は使用できないことが少なくありません。そのため、他のカード(VISA/MASTER)と併用するのが現実的でしょう。

以下に他の検討したカードを含めた一覧を載せておきます。 なお、スペースの都合上、SQ=シンガポール航空(クリスフライヤーマイル)、MH=マレーシア航空(エンリッチマイル)とします。

カード名国際ブランド対象マイル1マイルあたりの国内消費備考
Maybank 2 Cards PremierAMEXSQ / MH0.954RM年会費 800RM(条件付き無料)
Singapore Airlines KrisFlyer American Express Gold Credit CardAMEXSQ1RM(年間60,000RM以上消費)
2RM(上記以外)
年会費 250RM
Maybank Visa InfiniteVISASQ / MH2.385RM年会費 800RM(条件付き無料)
Hong Leong Visa InfiniteVISAMH2.8RM年会費 無料
CIMB Enrich World MasterCardMASTERMH3RM年会費 554.72(条件付き無料)
Alliance Visa InfiniteVISAMH3RM年会費 848RM(条件付き無料)
RHB Premier Visa InfiniteVISASQ / MHMH 2〜6RM
SQ 4〜12RM
年会費 無料
消費内容によりもらえるマイル数が変化する。
HSBC Premier Travel World MastermasterSQ / MH4RM年会費 600RM(条件付き無料)
Ambank Visa InfiniteVISASQ / MH5RM年会費 無料

還元率で考えるとどうなるのか?

マイルを獲得するうえで、還元率という単語がよく使用されています。1円=1マイルと仮定して、1円消費あたりの獲得マイル数を示したものが還元率です。例えば、ANA カードで一番お得感が高いと言われている「ANA VISA ワイドゴールドカード」の場合、1,000円で10マイルもらえるため、1円あたりの場合、0.01マイルもらえることとなります。そのため、このカードでは還元率を 1% と表現します2

1マイルあたりの価値は、ビジネスクラスやファーストクラスの方が最大化されますが、エコノミーの場合でもオープン航空券であれば 7万円以上することを考えると1円以上の価値があります。

上記でおすすめした「Maybank 2 Cards Premier」は、0.954RM で 1マイルもらえます。2018年7月4日のレートでは、1RMは、27.29円のため、26円で 1マイルもらえることになります。つまり、1円あたり、0.038マイルもらえる計算となるため、還元率は 3.8%になります。 3番目にレートがよい「Maybank Visa Infinite」の場合は 2.385RM で 1マイルのため、還元率は 1.5%になります。

ただ、前述の通り、クアラルンプール・成田間のマイルの交換レートを考えると、マレーシア航空のマイル価値は ANA の半分程度、シンガポール航空でも 6割程度となるため、それも加味する必要があります。

そうした場合、「Maybank 2 Cards Premier」で 1.9〜2.28%、「Maybank Visa Infinite」では 0.75〜0.9%まで下がります。

還元率を踏まえ、カードをどう使い分けるか?

ANA カードよりも実質的還元率の高い「Maybank 2 Cards Premier」をメインで使用し、使用できないところでは ANA カード等の他のカードを使用するのが最適だと思います。 「Maybank Visa Infinite」をはじめとした他のカードはマイルを貯めるという目的としては還元率が悪くおすすめできません。

また、他のカードを使用する場合、円安にぶれているときはマレーシア発行のカードを、円高にぶれているときは日本発行のカードを使用するのが良いと思います。現地通貨建てで給料をもらっている場合は関係ないですが、外貨建てで給与を受け取っており、定期的に RM に振り替えている場合には自分の貯金の平均レートもだいたい把握できるかと思いますので、そのレートと比較して考えるのが良いかと思います。

ただ、そもそもとしては1マイルあたりの価値は 1円よりも高い!と考えるところから出発しているため、マイルを事実上買っていると考えればレートを気にすることなく、可能な限りクレジットカードで支払うという方向性もありだと思います。私はその考えのため、可能な限りクレジットカード払いです

還元率以外のメリットも無視できない

ここまでマイルのことだけ考えてきましたが、空港ラウンジの使用特典であったり、コンシェルジュ(Infinite は VISA のブラックカードのため、24時間365日のコンシェルジュサービスが受けられます)が付いたり、ホテルの無償アップグレードなどなど、他の特典もあります。そのため、1枚は還元率で考えて、2枚目についてはそのようなサービスをメインで発行するカードを決めるのも良いかもしれません。

特に空港ラウンジの使用は、アジア圏に限定されるカードがほとんどではありますが、入国審査手続後にあるいわゆる航空会社ラウンジが使用できるため、かなりお得感があります。どこかの航空会社アライアンスの上級会員を持っていない場合やプライオリティパスを持っていない場合には、かなりのメリットになると思います。


  1. 三井住友カード - ご利用明細の説明
  2. 実際にはボーナスポイント等含め、還元率は 1.5%程度まで上がります。