ラブアン法人の設立と就労ビザの取得費用についての業者間での費用の比較
ラブアン法人をつくろうと考えた場合、やはり気になるのはお金のこと。設立に向けて動き出す際にネットでの情報調査と見積をいくつかとりましたので参考までに。日本系業者を使うメリットについても考えてみます。
目次
ラブアン法人を作るに際してさすがに日本人が自分でいきなり設立するのはかなりハードルが高く、実際上は法律事務所や信託会社等の力を借りる必要があります。
マイナーとはいえ、ラブアン法人の設立支援はそれなりにレッドオーシャンになっており、各社特色を出そうとしのぎを削っています。
日本語で対応してくれる業者も複数あります。私は設立に際し、業者選定をし、その結果、現地の業者(弁護士メインの信託会社)に依頼しました。どれぐらい費用が違うかなど、その時に調べた結果を共有したいと思います。
全体的な相場感
いくつかの事業者はネットで金額を公開していますが、一般的には問い合わせになっているかと思います。
日本人視点で以下の3つに業者を分類しました。
- 現地の事業者(英語)
- 日本系の業者(日本語)
- 欧米系の業者(英語)
このうち、「3.欧米系の事業者」は(一般的な)日本人にはほぼメリットがありません。しかも、ざっと調べても現地業者の3倍以上の手数料のため、すぐに調べるのをやめました。もしかしたら安いところもあるかもしれませんが、最終的にマレーシアの信託会社が関与していることを考えると、現地の事業者が最安になるのは間違いないところかと思います。
以下は、1と2について複数の見積もりを取った結果です(単位はすべて USD)。
現地の業者A | 現地の業者B | 日本系業者C | 日本系業者D | |
---|---|---|---|---|
設立費用 | 2,750 | 3,000 | 3,500 | 5,000 |
口座開設費用 | 600 | 800 | 600 | 650 |
就労ビザ | 1,500 | 1,100 | 1,800 | 1,800 |
配偶者パス | 800 | 550 | 800 | 1,200 |
合計 | 5,650 | 5,350 | 6,700 | 8,650 |
上記の費用のうち、最終的に頼んだ現地業者A 以外はホームページから算出または概算見積りを取得したのみのため、すべてのコストを足すともう少し高くなる可能性があります。
また、上記に含まれないコストとして、ラブアン法人に設置するオフィスの費用があります。これは私の方では年間 1,000USD(月額10,000円弱) を提案してもらい、それを契約しています。
業務内容に差はあるのか?
最終的に複数の業者に頼んだわけではないため差があるのかは分かりませんが、現地の業者でもスムーズに進行しました。
日本語で対応する会社も自身が信託会社等として、自己の名義で申請をするわけではないため、基本的には専門知識を持った通訳がいるというだけです。
そのため、業務内容に差がないのは当然といえば当然であり、あとは窓口担当者が当たりかハズレがというだけの違いに過ぎません。という意味では日本語対応の会社は窓口担当者が日本人であるという点で基本的には当たりと考えて良いかと思います。
日本の業者に頼むメリットはあるのか?
ほとんどメールではありますが、英語でのやり取りができない場合には日本の業者が無難です。ちなみに、私の場合は電話は自信がないからメールか直接会っての会話でのみやり取りしたいとお願いし、それでスムーズに進行できました。なので電話は苦手でも大丈夫です。
よくマレーシア人はルーズで約束を守らないとネットで見かけましたが、少なくとも現地の担当者は全員対応も速く、説明も十分にしてくれたため、悪い印象はありません。
唯一あるとすれば、正面から疑問に答えてくれないことがある点でしょうか。
これは日本でも同じですが、弁護士はまず間違いなく断言しません。断言するとそれが低い確率であったとしても間違っていた場合に責任を負う可能性があるからです。
マレーシアの弁護士もこれと同じです。ただ、少し違うのが日本人の場合は「〜がないとはえいない」とはっきりと言えないものをはっきりと言わないだけですが、マレーシアの場合、そもそも記録に残すのを嫌がります。ただ、電話などでは個人的な意見として教えてもらえます。
例えば、設立に際し、弁護士や税理士その他の専門家のレファレンスが必要という要件があります。これについて、保証ではないからレファレンスをしたとしても何らかの不利益を負う可能性がないか確認しましたが、これについては明言してもらえませんでした。
以上からすると、全体的な進行のスムーズさを重視する場合やきっちりとした回答が欲しいというようなニーズがあれば、日本語対応の業者はおすすめです。
なお、銀行口座の開設時に銀行担当者との面接等がありますが、それらは確実に英語での面接となるため、自信がない場合には少なくとも英語のできる人に依頼する必要があるかと思います。その依頼先候補がないのであれば日本語の業者にしておくのが無難だと思います。
現地の業者に決めた理由
最終的に現地の業者が申請等を行っているであろうことを考慮すると、通訳業務に金額差ほどのメリットが見えなかったので現地の業者にしました。
私が依頼したところはメールのやり取りの時点でスピードや対応内容に不満がなかったというのも大きかったと思います。
なお、この設立に関する問題だけでなく、他の問題、例えば不動産などでも日本系業者は現地業者の適当さを強調して自己の優位性を主張してきますが、私が経験した範囲内ではその優位性は若干誇張されているように感じられます。もちろん、現地業者の評判等は英語等で確認すべきなのは当然です。英語で評判の悪い情報がなく、自分でやり取りもして問題を感じなければ、やはり問題はないといだけの話です。
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