ラブアン法人の設立や運営に必要な英語力はどの程度か

海外法人を設立するだけであればともかく、運営もするとなると、ある程度の英語力は必須となります。ただ、実際にはどの程度の英語力があれば何とかなるのか、特に基準はないため悩ましいところではないかと思います。一例として、私の英語力と感触が参考になればと思います。

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ラブアン法人に関する多くの手続は英語で行われます。法令等も一通り英語で用意されているため、マレー語は一切わからなくても問題ありません。そのため、ラブアン法人をスムーズに運営できるかは、語学の問題では英語のみです。

とはいえ、非英語ネイティブにはどの程度の英語力が必要とされるのかは気になるところかと思います。

個人的な経験からどの程度の英語力があれば問題ないかを参考までに提示したいと思います。

私の英語力

留学経験は一切なく、中高大学の授業で消極的に勉強してきました。そのため、はじめて海外に行ったオーストラリアではあまりにも自分の英語が通じなくて驚きました。

その後、学生時代はいわゆるバックパッカーであったため、英語を聞く、話すということを繰り返すことで、いわゆる旅行程度では困ることはまったくと言って良いほどなくなりました。

海外渡航直前のTOEICが805です。特に試験対策はしていない、かつ、初受験という状況のため、スコアの割にはコミュニケーションは取れる方かもしれません。

IT系の仕事をしているため、ドキュメントを中心に英語の文書を読むことには抵抗はありません。また、ニュースは日頃から英語(Japan Times、CNNなど)で読んだり、趣味関係も英語で情報収集するように心がけています。

少し特殊な点として、大学院時代に法律関係の英語は判例を中心に読んできたので法律英語にも慣れています。

ただ、テーマのない雑談やスラング、こなれた慣用表現などは必要としてこなかったので若者の会話などは半分以上分からないことが多いように思います。マレーシアに来る前に4ヶ月程カナダで英語ネイティブたちと生活をしましたが、1対1の会話は問題なくても、ネイティブ同士の会話にはついていけないことの方が多い、というようなレベルです。

必要とされる英語力

必須なのは読む(Reading)スキルです。ただ、法令を読む必要はなく、あくまでも現地の業者(法律事務所)のメールが読み解ければ問題ありません。

向こうもネイティブではないため、こなれた表現はなく、むしろ日本人には読みやすい英語だと思います。

ついで必要なのが聞くスキル(Listening)です。銀行との面接、業者との面談、そこで一番必要なのは相手が何を言っているのか分かることです。マレーシア人の話す英語は訛りが強く、慣れるまでは何を言っているのかがまったく分からないこともあります。ただ、ちゃんと聞き返せば言い直したり、言い換えたりしてくれるので、疲れますが何とかなります。

話すスキル(Speaking)については大きくは問題になりません。フリートークは特に必要なく、どのような事業を行なっているかなど、まさに特定のテーマについて話せれば良いだけです。自分の事業について一通り英語でまとめておけば十分です。

書くスキル(Writing)は必要ではあるものの、業者への質問で使用するのみであるため、単語の羅列に近いものでもなんとかなると思います。こなれた表現や厳密な文法は要求されません。

私の英語力レベルではまったく問題なかった

今までのところ困ることはありません。時々弁護士の訛りが強くて聞き直すことがある程度です。法律用語が出ることもほぼなく、なんとなく株式会社というものが分かっていれば意味の分からない手続はないと思います。

そのため、海外留学経験がある方や仕事で英語を使っていたレベルの人であれば何も心配することはないと思います。ただ、海外旅行で少し使う程度の場合には苦労するかもしれません。

読むスキルは重要であるものの、時間をかけて調べればなんとかなるため、実際に問題が表面化しやすいのは聞くスキルだと思います。一度だけ帯同者パス用に妻が同席しましたが、妻(TOEIC500程度。日常生活レベルでは問題なし)は(訛りが強くて)何を言っているのかほとんど分からなかったと言っていました。

英語力はどうせ必要になる

相続対策等で資産管理会社を作るだけであれば英語力は今後あまり重要にならないかもしれませんが、ラブアン法人にビジネスを移管して継続を考える場合、英語から逃げるのは得策ではありません。

もしマレーシアに拠点を移すことも考えているのであれば多少不安があっても英語でやり取りすることに慣れるためにも、自分でやってみることをおすすめします。源泉徴収、ビザ、確定申告など自分で理解しておかなくてはならないことは少なからずあります。

また、マレーシアでの英語話者は多くがネイティブではありません。そのため、発音の悪さ、文法の適当さ、単語の違和感、そういったものに寛容であるように思います。分からないことは聞き返す、意味を確認する、そういったことだけできれば十分チャレンジ可能なレベルではないかと思います。

自分のビジネスについて予め英語でどう説明すべきか書き出してみる、英文の履歴書を作る、そういった作業で聞かれることに対する回答のほとんどはカバーできるはずです。雑談で聞かれる内容は出身地やどこで英語勉強したなど、簡単な内容だけです。要は、多くのことは事前準備でカバーできるため、自分の英語力向上のための勉強の一環と捉えても良いぐらいではないかと思っています。