ラブアン法人+クアラルンプール生活はフリーランスの最強の節税策
ラブアン法人を使用したスキームでのクアラルンプール生活はフリーランスに最適で、最強の節税策だと思っています。税金が高いと悩んでいる自営業や中小企業の経営者の人にはぜひ一度検討してみることをおすすめしたいと思います。
目次
クアラルンプールに住んでいる日本人のパターンは、大別して(1)会社から就労ビザを出してもらっているパターン(現地採用や日本からの転勤パターン)、(2)MM2Hビザで悠々自適パターン、(3)マレーシア法人を設立し、その法人の就労ビザを取得しているパターン、(4)ラブアン法人を設立し、その法人の就労ビザを取得しているパターンがほとんどではないかと思います。
私は、この中で(4)ラブアン法人を設立し、その法人の就労ビザを取得しているパターンでマレーシアに滞在しています。世界中を見渡してもラブアン法人にしか見られない珍しいメリットがあって、最終的にこの方法を選択しました。特にフリーランスの人など、インターネットで完結するような事業をしている人には検討の価値があると思っています。
今日はラブアン法人のメリット・デメリットをIT系フリーランスの立場で説明したいと思います。
ラブアン法人とは?
ラブアン法人は、コタキナバルなどがある東マレーシアにある小さいラブアン島という金融特区で設立可能な法人です。法人税率3%または最大20,000リンギット(約55万円程度)という、いわゆるタックスヘイブンです。
現地に居住する取締役や株主が不要であるため、設立はとても簡単です。ただ、日本であればタックスヘイブン税制があるため、日本にいたままビジネスをラブアン法人に移行しても結局その利益は日本で課税されてしまいます。
タックスヘイブンに法人をつくれば節税になるのか?
日本の非居住者になれば節税になる可能性が高いです。ただ、他の国の居住者となる場合、その国で日本と同じようにタックスヘイブン税制があったり(先進国はほぼ当然のようにあります)、個人所得税が高い場合には節税にならない可能性があります。
そのため、タックスヘイブンの利益を享受するには、タックスヘイブンに設立した法人の利益が個人の利益とみなされるような税制の適用がないこと、そして、原則として、個人所得税が低い国に移住する必要があります。
ただ、どの国でもそうですが、国籍や永住権を持っていない限り、合法的な長期滞在は難しいです。特に、まともに働ける・生活できる環境の国となると、年間を通じて合法的に滞在できるビザを取得することはかなり大変です。
どの国にも長期滞在せず、いろいろな国を渡り歩く、いわゆるパーマネントトラベラーという選択肢もありますが、国籍が日本であり、家が日本に残っていたり、日本で商売していたりすると、日本での滞在日数が短いとしても日本の居住者とみなされる可能性は否定できません。
その問題点がすべてクリアされているほぼ唯一の法人がラブアン法人です。
ラブアン法人のすごいところ
一番の特色は、クアラルンプールをはじめとする西マレーシア半島に居住できる就労ビザが発行可能であるという点です。バージン諸島やケイマンなど、有名なタックスヘイブンはそれぞれ小さな島国で居住できるのもそのような小さな島に限定されます。また、都市として発達している香港やモナコなどの国は同じくタックスヘイブンであったとしても居住コストが高すぎるという問題点があります。
その点、ラブアン法人の場合、クアラルンプールという日本と時差も1時間しかなく、生活コストも1/2から2/3程度で暮らせて、十分に都市化されているところに住めるため、生活しながら節税するには最適な場所になっています。
その他のメリット
タックスヘイブンの中でも法人税が安い
法人税が定率3%となっていますが、定額で約55万円を選ぶこともできるため、利益が多ければ多いほど、実効税率はさらに下がります。また、定額か定率かの選択は事業年度終了後に選べるため、もし利益が少なくても3%で済みます。
香港の法人税率は、最近、一定所得までは 8.25% と半減されましたが、それでもラブアン法人の2倍以上です。
アジアにあるタックスヘイブンの中ではラブアン法人が最低税率です。
日本との時差が小さい
日本よりもだいぶ西側にありますが、時差はたったの1時間です。日本の顧客がメインの場合でも時差を気にすることなく仕事ができます。
インターネット環境が充実
クアラルンプールでは、まともなコンドミニアムやオフィスビルでは 100Mbps 以上の速度の回線を引くことができます。実行速度も十分に速く、不通となることもほとんどありません。アジアにありがちな停電もまだ経験がありません。
Skype や 050 番号でもほぼ遅延なく快適に通話できています。
4G通信の SIM が安い
地味に嬉しいのが 4G 回線のネット使用料がものすごく安いです。1ヶ月7GB程度の通信料でもRM35(約1,000円)で使用できます。そのため、外出中も気軽にテザリングでばんばんネットを使いまくれます。
日本と同じような生活ができる
特に中心部には、日本食レストランや日本食スーパーが多くあります。スーパーは日本よりも割高感がありますが、日本食レストランは日本と同じ程度の金額のため、日本と同じような食生活をしても生活コストは上がりません。
中心部の家賃が安い
クアラルンプールの中心部でも家賃は東京に比べればものすごい安いです。私は中心部に出ることはあまりないため少し中心部から離れた MRT で 20分程度の駅直結の築浅のタワーマンションに住んでいますが 60m2 程度で月6万円程度です。しかも家具付き、豪華なジム、プール付きです。
日本で同じような条件だと月25-35万円はするような印象です。引きこもって仕事したい人には最高の環境だと思います。
家で仕事して、夜はコンドミニアムのジムで汗を流し、食事は駅前のモールで外食という生活はストレスフリーです。
宅配サービスが充実
食事やスーパーでの買い物は宅配サービス(人力の買い物代行です)があるため、数百円程度の低廉な手数料で面倒な買い物等をすべて外注することができます。
タクシーが安い
本当のタクシー自体はものすごい評判が悪いですが、Grab のおかげで素晴らしいタクシー生活ができます。ぼったくられることもなく、また、場所を説明することなく、快適にタクシー移動ができます。2人以上だと Grab の方が電車やバスよりも安いことがあるぐらいコストパフォーマンスが高いです。
余計な節税策を考えなくて良い
税金が安いため、節税策を考えなくて良いのは大きなメリットだと思います。生活の基盤さえできてしまえばあとは仕事に集中するのみです。これは交際費にしても良いかな、など細かいことは考えなくてよくなります。
投資を積極的にできる
マレーシア国内での定期預金は 3-4% と非常に高い利息が得られます。生活で費消する分については為替リスクを考慮しなくて良いため、高い利率を存分に享受できます。
また、マレーシア国外での投資については非課税のため、香港などの銀行に口座を開設し、そこから投資で利益を得ても非課税となります。投資もする人にはこの点も大きなメリットとなるかと思います。
デメリット
あまり大きなデメリットはありませんが、あえて言えば下記のようなものがデメリットになるかと思います。
取引先に海外送金を依頼する必要がある
これが一番ハードルが高いところかと思いますが、海外法人は日本に支店を作らない限り日本の口座を開設することが事実上不可能であるため、必然的に海外送金を依頼することになります。
ランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシングをメインとしているフリーランスの人は国内での送金しかシステム上できないため、この点が一番大きなハードルになるはずです。
もちろん、日本の個人口座経由にしたり、送金代行を使用したりということも考えられますが、前者は日本で課税されるリスクがある点、後者は手数料が高い(10-20%程度)点を踏まえると直接海外送金してくれるクライアントでないと現実的には厳しいように思います。
英語が話せないとつらい
生活のほとんどの場面で英語が必要になります。難しい会話は必要ありませんが、一切話せない場合には厳しいかもしれません。ただ、ブロークンでも十分通じますし、慣れればなんとでもなるので、英語の環境で生活したいかどうかだと思います。
個人的には英語環境で生活をしたかったので、この点はデメリットではなく、メリットであると感じています。
日本から遠い
時差は1時間ですが、フライトは7時間強かかります。ヨーロッパや北米と対して変わりません。時差ボケがないのは良いのですが、エコノミークラスだと日本に帰るのが若干憂鬱になる飛行時間です。
個人所得税がかかる
タックスヘイブンは、個人所得税も無税という国が少なくありませんが、ラブアン法人の運営者は個人としてはマレーシアの税務居住者となるため(マレーシアに暦年182日以上滞在した場合)、マレーシアで働くひとたちと同様に個人所得税がかかってきます。
ただ、ラブアン法人の場合には、少なくとも2020年までは取締役報酬は非課税で給与の部分のみ課税されるため、年収は 90,000リンギット(理論上は 60,000リンギットが可能ですが、実務上は 90,000リンギット)で、外国人の場合には半額が非課税になるので、課税所得は 45,000リンギット(約125万円)に収まります。この程度の所得だと税率は10%以下であるため、日本と比べればとても安く感じます。
なお、住民税はありません。
情報が少ない
ラブアン法人の作り方などは情報が多くありますが、実際の運営になると情報がとても少ないです。公式の情報も少なく、口頭発表というふざけた方法もまかり通っているため、全体的に不安定な印象があります。
いつメリットがなくなるかわからない
上記に関連して、いつメリットの一部が無くなるのかが分かりません。これは中長期で考えた場合には大きなデメリットとも言えると思います。
移住ではなく、期間限定の出稼ぎと捉えることも
以上、少なくとも当面(2020年)はメリットが得られるため、中長期ではなく、数年程度のスパンで考えても良いと思います。経済成長が速いといっても数年では物価の上昇も限定的であり、生活コストが想定よりも大きく変化することもないでしょう。
年間所得が1000万円から2000万円程度の人の場合、日本では手取りはが半分から 60%程度になるかと思います。このスキームを使用すれば、1年で数百万円単位での節税が可能です。実際には手間等も考えると、数年以上を考える必要があるかと思いますが、数年であれば出稼ぎ感覚で貯金と海外生活を楽しむと割り切ってこちらに来るのも良いのでは?と個人的には思っています。
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