取引所内での仮想通貨の三角裁定取引(アービトラージ)はやはり厳しいかも
利益が確実に出せる裁定取引(アービトラージ)の中でも取引所内で完結させることができる一番簡単な三角裁定取引。FXだともはや現実的ではありませんが、仮想通貨ではまだまだ利益が出せるかもと思い、検証してみました。
目次
マレーシアは海外所得としてのキャピタルゲイン課税が非課税ということもあり、前々から興味を持っていたビットコインやイーサリアムをメインとした仮想通貨の裁定取引(アービトラージ)の準備を始めています。
裁定取引の手法として、今でも多くの方が実施しているのは取引所間の価格差を利用したアービトラージですが、送金の手間等もあるため、まずは取引所内で完結する三角裁定が有効であるのかを検証してみました。
海外を中心にサンプルプログラムも見つかりますが、あまりにも微妙なものが多かったので結局自分で書くことにしました。まだ理論的な価格差での検証しかできていませんが、十分利益が出せそうで驚きました。
2018年10月17日追記:
板の注文ベースで検証したところ、残念ながら、丸一日みても裁定機会が出てこないぐらい厳しいです。また、板の厚み的にも0.05BTC程度ではないと成立しない仮想通貨がかなり増えてきます。1回の注文で抜けても数十円程度、かつ、板が薄いためスケールさせることができないことを考えると、やはり現時的にはメリットは少なそうです。
検証対象
日本では、JPY➔BTC➔ETHなどの三角裁定が多いですが、海外の取引所にはBTCかETHで送金して始めることになるため、仮想通貨間の三角裁定で検証を実施しました。
取引量が少ないとそもそも約定せず、またあまりにも金額が小さくなってしまうため、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)と他のコインのうち、その日の24時間取引量が多い仮想通貨を対象に行いました。
結果として、昨晩と今朝はリップル(XRP)、モダム(MOD)、モエダロイヤリティポイント(MDA)、アーロン(ARN)の取引量が多かったのでこれらをBTCとETHと組み合わせることにしました。
3種類の仮想通貨の三角裁定の場合、例えば、リップルを3番目の仮想通貨としたとき、以下のような組み合わせがあり得ます。
- BTC➔ETH➔XRP
- BTC➔XRP➔ETH
- ETH➔BTC➔XRP
- ETH➔XRP➔BTC
- XRP➔BTC➔ETH
- XRP➔ETH➔BTC
3番目にとるべきコインはそれ自体の値動きが激しいと、ポジションを持っているだけで利益が出ても結局大損の可能性もあるため、あまり取りたくないパターンですが、ひとまず検証なのでこれらも対象にしたいと思います。
補足:組み合わせは6つあっても結局は2つだけ。BTCだけポジションを持てば良い。
よく考えてみれば当然ですが、環状の組み合わせであるため、上記の例のうち、1と4と5は同じで、2と3と6も同じです。つまり、輪っかにしたときに右回りか左回りか、その2パターンだけであるということが分かりました。
値動きや受け渡しを考えると BTC か ETH を基軸に考えるのが良いと思います。
ちなみに、右回りにするか、左回りにするかで利益率は結構変わってきます。以下のデータは、10月15日夕方頃に一番取引が活発だった BTC-ETH-MDA / BTC-MDA-ETH の利益率比較です。約2時間で830回(約8秒に1回)のテストを行った所、BTC-ETH-MDAが平均利益率0.23863%であるのに対し、BTC-MDA-ETH は0.29706% と約1.25倍のパフォーマンスでした。
ただ、グラフを見てわかる通り、めまぐるしく反転するため、都度取引時に右回りと左回りを比較してより利益率を高い方をトレードするという戦略が適当だと思います。僅差の場合には板の厚みがある方を使うと約定率も上がるのでは?という予感がしています。
2018年10月15日深夜(AM1:00頃)
BTC・ETHを基軸として、XRP/MOD/MDA/ARNの4つの仮想通貨を約30秒に一回裁定機会を探し、6つの組み合わせの中から一番良い仮想通貨の順序で取引した場合の利益率をまとめました。手数料は控除済みであるため、約定さえすれば、この通りの利益率が出る内容です。
2018年10月15日午前(AM10:00-11:00頃)
上記と同様の取引を時間を変えて行ったものです。深夜よりも明らかに裁定機会が増えています。
課題:取引量を考慮するとどうなるか?
理論的にはまだまだ十分に利益が出せそうということが分かりました。ただ、板が薄くてまったく約定しないままというのが一番怖い、そしてあり得るパターンのため、取引量を考慮してもなお利益を獲得できるのかを引き続き検証してみようと思います。
これでうまくいけば、一旦実トレードをプログラムで回し始めたいと思っています。
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